俺の好きにさせてください、お嬢様。
「オラワクワクすっぞ!!」
「…なんで元気玉溜める戦闘民族になってんだよ」
「えへへっ」
涙は悲しいものが少しだけ混ざっていたけれど、そのあとはきっと嬉しいものに変わるから。
ほら、もういま変わってるね。
「ハヤセ、ハヤセのお母さんはどんな人…?」
「…すごく、元気な人です。少し抜けているところもあって、エマお嬢様に似ているかもしれませんね」
「じゃあ仲良くなれるかな…?」
「もちろん。きっと両親も兄さんたちも、俺以上にあなたを可愛がると思いますよ。…近いうちに合わせてあげます」
きっと素敵な家族だ。
そのときはハヤセの家族みんなに四つ葉のクローバーを渡してあげよう。
ぜったい喜んでくれるって、ありがとうって笑ってくれるって、それだけは分かっちゃう。
「エマお嬢様の本当のお母様はきっと…あなたがアリサ様を始めとした、たくさの人に幸せを与えられるようにと柊家に預けたのです」
「…うん」
「たとえば、屋敷の裏で泣いていた男の子もそのひとりなんですよ?」
「うんっ」
やっぱりハヤセはわたしを喜ばせる天才だ。
その言葉だけで、お姉ちゃんやハヤセに幸せを分けてあげるためにわたしは柊家に来たんだって思えちゃう。