俺の好きにさせてください、お嬢様。




「エマお嬢様、せーの、」


「えいえいっ、おーーっ!」


「…そう、えいえいおーだ。耐えろ」


「た、耐えろ…!?まって…っ、んんっ…!」



その目を熱いものに変化させながら、ハヤセはジャケットを脱いだ。

途端にドキドキと胸の高鳴りが戻ってくる。



「ハヤセ無理だよ耐えられない…っ、また腰抜かしちゃう…!」


「俺と一緒ならどんなことだって耐えられます。それに、今は寝ていますから腰は抜かしません」


「んんっ…、ん…っ、……はや、せ…、」



その日のキスは今まででいちばん緊張して。

それでいて、今まででいちばん甘くて優しいキスだった。


どんどん深いところに入ってこようとしてくるけど、怖さとかの前に嬉しくて幸せでたまらなくて。



「エマお嬢様のすべてを俺に見せてください。…俺にあなたのせんぶをください」


「ぁ…っ、」



笑顔と馬鹿で着飾ったものを1枚1枚脱がしていった先に、見栄や誇れるものが何もないわたしがいたとしても。

彼は優しく包み込んでくれる人。


溶けてゆく、こわばった身体が、大好きな人によって溶けていく。



「あなたの弱いところも恥ずかしいところも…まだ自分ですら知らないところも。
エマお嬢様のぜんぶが、欲しい───…」


「わ、わたし…っ、壊しちゃうかもしれないから…っ」


「壊れない。俺はそこまで脆くない。だから俺と一緒なら大丈夫だ、エマ」



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