俺の好きにさせてください、お嬢様。
私が何度質問したとしても上手くはぐらかされてしまうため、とうとう燐を呼んだ。
ここは女より男のほうが良いかもしれないと。
真冬くんにズバッと言える1人でもあるだろうから。
「エマー、これ生きてんの?」
「死んでるわけねえだろ」
「だってこんな静かとかヤバいだろ。……待って、こいつ定積分の公式つぶやいてんだけど」
エマに耳を寄せた燐は、ありえない光景を目の当たりにするようにぶるっと身震いをした。
確かにずっとぶつぶつ何かを言っているとは思っていたけど……。
「…アリサ、ちょっと隣の部屋行ってて」
「…私はエマのお姉ちゃんだからいるわ」
「なら失神とか勘弁してよ?俺たちも近い話なんだから」
え、近い話……?
私が反応するより先に、燐は真冬くんを見つめて笑った。
「Sランクは手の早さもSランクってか」
「……上手くねえんだよ」
「ははっ、早瀬だけにね?上手すぎだろ俺」
「面白くねえんだよ。それにお前はとくに呼んでない」
男の子同士のノリは全然わからない…。
わからなくていいものだとも思うし、聞いてるだけで恥ずかしくなってくる。