俺の好きにさせてください、お嬢様。
そんな私とは反対に「その手があったか」と、納得気味の真冬くん。
ごめんねエマ……。
ここはお姉ちゃん助けてあげられない…。
男の子って分からないことばかりなの。
「ありがとな早乙女。アリサ様もお忙しいところわざわざすみません」
「う、うん…。でも真冬くん、ひとつだけいいかしら」
「どうかされましたか?」
「お手柔らかに…お願いね…?」
上の空のエマをすでに抱き上げている真冬くん。
穏やかに笑って「もちろんです」なんて言ってくれるけど……。
それを信じることにして、リビングを出た───瞬間。
「うわわわわわっ!!ハヤセ……っ!」
……と、ここで意識を戻したらしい妹。
ドアの先から叫び声が聞こえてくる。
「なにするの…?ま、前みたいなことするの…?」
「します」
「いやぁぁぁぁ…っ!」
「嫌?あれほどまでの反応をしながら気持ち良すぎて善(よ)がっていたのは誰でしょう?」
「ハヤセっ!!」
「お前もだよ」
良いのか悪いのか分からないけど、そんな真冬くんを選んだのはあなたなのよエマ。
そう思いながらケラケラ笑う燐とマンションを出た。