俺の好きにさせてください、お嬢様。
「逆にハヤセは平気なの…?」
「…わかりません」
わかりません、そんな返事がわかりません。
だって裸で一緒にお風呂に入るんだよ?
わたしたちは子供なんかじゃないし、わたしはもう高校生だし、でもハヤセの裸は上半身だけなら見たことがあるけど…。
去年のプールの授業のとき。
着痩せするタイプなんだなぁって思ってしまったくらい、筋肉が付いてて。
「っ~!!だめっ!やっぱりだめ…!!」
「エマお嬢様?いま何かを想像していましたか?」
「しっ、してないよ!?うん!してない!」
バレ……てる…。
恐るべしSランク執事、抜かりないぜ早瀬 真冬…。
「わっ、」
食事の準備を終えたのだろう、気づいたときにはソファーに座るわたしの前に来ていたイケメン執事さん。
わたしが逃げようとするのを分かっていたのか、伸びてきた両腕が逃げ場を塞いでしまって。
心の読めない眼差しでしゃがみながら見つめてくる。
「エマお嬢様、」
「や、そ、そーいうのしたことないもん…!」
「俺だってありません。それに、エマお嬢様に他の男とそんな経験があったら嫌です」