俺の好きにさせてください、お嬢様。
えっ、それは甘すぎると思う…。
その声だって目だって、どんなデザートよりもずっとずっと甘いもん…。
「冗談です。お風呂から上がったらご用意致しますね」
「う、うん…」
唇が離れると、今度はそっと抱き寄せてくる。
ふわっと鼻いっぱいに広がるフローラル。
ヘアワックスで整えられた黒髪ミディアムと、ナチュラルに真ん中でふわっとアップバングされた前髪。
「…大好きです、エマお嬢様」
「へへ、うんっ」
「俺が今もずっと我慢しているのを知っていますか?」
「え…がまん…?困ってるの…?」
「えぇ。困っています」
また困らせちゃってる…。
前からずっとわたしはハヤセを困らせてしまってるみたいで。
どうやってそれを解決してあげたらいいのか分からなくて、逆に困ってる。
「ハヤセ、もういっかいっ!」
「…言葉ですか?それとも違うものですか?」
「───…りょ、両方っ」
「欲張りですね、エマお嬢様は」
くすっと落として、そのとおりにしてくれる。
甘い甘い執事さんは、お嬢様であるわたしの命令は何だとしても聞く人だから。