俺の好きにさせてください、お嬢様。
「───大好きだ、エマ」
「うひゃぁぁ…っ」
かすれぎみに、ぶわっと耳を刺激してくる低すぎないアルト。
カプッと甘く噛んでから、ちゅっとダイレクトにリップ音が弾けた。
その熱が残ったまま余韻を消さぬようにハヤセは続けてくる。
「続きはあとで。…お風呂に行きましょうか、エマお嬢様」
「えっ、あっ、まだ心の準備が───うわぁっ!」
そのままひょいっと抱えられまして。
スタスタと脱衣場へ向かってゆくリボンタイのタキシード男。
あ、そうだ。
新しいリボンタイを近々プレゼントしてあげたいって思ってたんだっけ…。
───って、今はそれどころじゃなぁぁぁいっ!!
「は、ハヤセ…、本当に入るの…?」
「入ります」
「み、水着はっ」
「駄目っつっただろうが」
「……」
そしてこうなる。
だろうがはやっぱり怖いよハヤセ…。
「ハヤセ先入ってて!わたしそのあと行くからっ」
「いえ、俺は執事ですからお嬢様が先です」