俺の好きにさせてください、お嬢様。




カチャッと、ベルトに手をかけたことで自然と鳴った音。

それがどこか生々しくて、浴槽からふわふわと立ちくもる湯気が雰囲気を作っちゃう。


居たたまれなくなって顔をぷいっと逸らせば、ハヤセの動きも止まる。



「っ、ハヤセやっぱり先どうぞ!わたしお茶とか持ってくる…!!」


「エマお嬢様、」


「わっ、ハヤセ…?」



ずいっと近づいてきて、同じようにわたしは一歩うしろへ下がった。

そうするとまた隙間を埋めてくるように近づいてくる。



「っ、」



トンッ───。

壁に背中がピタッと付いて、行き止まり。



「あ、あのねっ、お茶っ、」


「…俺はエマお嬢様の身体も見たい」


「えっ……え…?」


「エマお嬢様を脱がしてもいいですか?」



脱がしてもいいですか……と、いうのは。


わたしは自分の手では脱げないの…?

自分が食べる桃を自分で手にすることをしなくていいように。

服を脱ぐのだって執事に任せるものだったりするの…?


いやいやそんなわけないっ!!



「いやお茶っ、わたしハヤセのお茶注ぐ係だから…っ!」


「───エマ、」



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