俺の好きにさせてください、お嬢様。
あぁ、ダメだぁ……。
寄せられた耳元、すっごい甘い吐息混じりの声。
「俺の言うとおりにしてください、お嬢様」
「っ、ずるいよ…、」
部屋着であるパーカーのチャックが下ろされて、肌が空気に触れてぶるっと震えた。
その動作だって無駄がなくて完璧。
「ハヤセ…、ちょっと寒いからやめとく…?」
「やめません」
「あっ、えっと、風邪引いちゃうから湯船浸かってていいよ…!」
「一緒のタイミングで浸かりましょう」
気づけば上半身はキャミソール。
わたしはホック式のものではなく、スポーツブラタイプのものが多くて。
それが恥ずかしくもあって、だけどそんなことを気にしていられる余裕なんかない。
「ハヤセ、ネックレス外さなくちゃ…」
「…そうでしたね。俺が外します」
ほらこれも正面から抱きしめられちゃってるみたいになる。
パチンと、丁寧に外されたネックレス。
これはわたしの何よりの宝物だ。
「ハヤセ、ハヤセ、」
「…どうかされましたか?」
万歳をするように、キャミソールも優しく脱がせてくれる。
つまらないだろうに…。
ちょっと落ち込んでるはずなのに…。