俺の好きにさせてください、お嬢様。
「おいアリサ、意味わかんないだろこれ」
「…う、うるさいのよ」
「は?うるさいってなんだよ。普通に会話してただけなんだけど?」
うわぁ、早乙女のほっぺ真っ赤に腫れてる…。
お姉ちゃんってこんなに容赦ないんだ…。
うん、いいと思う。
だってかつてはわたしたちを雑に扱おうとしてた男だからっ!
「ねぇエマ、さすがに妹のお前が見てもひどいと思わない?」
「え、いや?とくに?」
「…いや冷たすぎ。俺って一時期エマの執事を受け持ってあげた優しい男だよ?早瀬さんはそう思うだろ?」
「まったく。もっと叩かれろ」
「……俺の周りは敵しかいないねほんと」
ふふっと、お姉ちゃんは柔らかく笑った。
そんな心からの飾らない笑顔を見るのは久しぶりかもしれない…。
おい早乙女、君たちは案外いい組み合わせなんじゃないの…?
「早乙女は元気だった?」
「うん、たったいま誰かさんのおかげで元気じゃなくなったよ」
「あははっ」
それにしても相変わらず綺麗な金髪だ。
いつかに黒髪にしてわたしの前に現れたときは色んな意味でびっくりしたけど。