俺の好きにさせてください、お嬢様。
「中々お似合いですね、エマお嬢様」
「うんっ!わたしも思った!」
わちゃわちゃしてるお姉ちゃんと御曹司を前に、ハヤセは表情を和らげた。
そんなわたしには大切な役目がありまして。
「はいっ!これハヤセね!これお姉ちゃんっ!最後は早乙女っ!
あーーしまった!へへ、自分の準備するの忘れてたっ」
ひとつずつの湯飲みにお茶っ葉の粉を入れて、早乙女が手を洗おうとした蛇口からお湯を注ぐ。
お茶を立てるのは下手だけど、注ぐことは得意な聖スタリーナ女学院2年生の柊 エマです!
「……どうしよう真冬くん。私の妹、良い子すぎて可愛すぎないかしら…」
「ええ、わかります。すごくわかりますアリサ様」
「変わってないのよ、4歳くらいから。エマはずっとこんな子でね」
「確かにそんな感じがします。写真などがありましたら今度ぜひ見せてください」
うんうんと頷きながらも頭を抱える2人。
なにしてるの、なに言ってるのお姉ちゃんとハヤセ。
「……え、ただのアホだろ普通に」
「殴るわよ燐」
「叩くのレベル越えてんじゃんそれ」
とりあえず気にせずわたしも自分のお茶を注いだ。
ハヤセはお茶ばかり飲んで、わたしに「おかわりお願いします」って何度も言ってくる。