俺の好きにさせてください、お嬢様。




バッチーーーン!!!


うわぁぁぁ……今のはヤバいよお姉ちゃん…。

すっごい音したよ、お客さんみんな注目しちゃってる。



「……あのさぁ、アリサ」



うわぁぁっ!!
ぜったい怒ってるよ…!!

早乙女ってわりと怒らせると怖いとこあるから…!!


わたしの宝物のネックレスを平気で千切ったりしちゃう男だからっ。

お姉ちゃんを守らなくちゃ…!!



「さ、早乙女っ!!怒らないであげてっ!あのね、お姉ちゃんは嫌いな相手と回転寿司なんか来ないから…!!」


「……怒れないんだよ、もう」


「…え……?」


「怒れないんだよね、俺。なんかアリサには」



困ったように笑った早乙女。

ヒリヒリしているだろうほっぺたに、さっきのお姉ちゃんから貰ったタオルを自分で当てた。



「ほんと困る。なんか怒れないんだもん、なんだろねこれ」



さっきからその台詞しか言ってない…。

けど、それって。それってさ……。


少し前にハヤセがわたしをお風呂に誘ってきたとき。

腰を抜かしてしまったわたしに伝えてきた言葉があった。


可愛いくてつい許せてしまう───って。


今の早乙女、そのときのハヤセと同じ顔してるんだけど……。








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