俺の好きにさせてください、お嬢様。




「んー、初恋がエマで良かったとは心から思ってる。ただ…早瀬さんの隣にいるエマの笑顔を見たらさ、
やっぱりその子の幸せが一番なんだよなって今日も実感したよ」


「…そう」


「ん?どうした?声震えてるけど」


「……そんなこと、ないわ」



やっぱりエマが羨ましいって気持ちは今も少しだけあるかなぁ。


私はどうしてエマみたいに四つ葉のクローバーを見つけられないの───幼少期のそんな感情が、エマを避け始めたことの発端だった。

けど今は真冬くんとエマを見ていると私も嬉しい。



「アリサ?具合でも悪い?」


「…そんなことないって言ってるじゃない」


「だって泣いてるんですけど」


「……っ、…そんなこと、ない、」


「うん、わかった。そんなことないね、ないない」



どうして……?

その涙の理由は今も分からないけど、それは最近だった。

こうして燐と他愛なく話せるようになって、その度にとある気持ちに苛まれることが増えた。


婚約者としてじゃなく、普通に出会いたかった───って。


“婚約者”っていう名前がすごく重く感じて、それだけで今も私たちの関係は成り立ってるだけなのねって。

そう思うと苦しい……。



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