俺の好きにさせてください、お嬢様。
「…今日は一段と聞き分けが悪ぃな」
「わっ!」
ベッドに腰かけていた私の前、跪(ひざまず)いていたハヤセは身を乗り出してきた。
ギシッときしむベッド。
「エマ、スカートにしたらこうやって俺に毎日触られるぞ」
「ひゃっ!」
俺様ハヤセ、降臨。
意地悪な笑みを落として、わたしの太腿に手を滑らせた。
「っ、いつもだもんっ!」
スカートだからじゃない。
いつもそうやって触ってくるくせに。
だからスカートにしたところで変わらないのなんか知ってるっ!
「あぁそれか、触られてえのか」
「っ…!」
トンっと軽く押されてしまった身体。
ふわっと背中がベッドにくっついて、わたしに影を落としてくる。
「ハヤセっ、今日はだめ、跡付いたらみんなに見られちゃう…、」
夏休み中だったから毎日のように付けられても平気だったけど。
今日からはそれはだめ。
キスマーク、って言うらしい赤いシルシ。
「…いいじゃないですか、見られたって。それとも何かやましいことがあるのですか?」
「えっ、ないよ…!?ないけどっ」