俺の好きにさせてください、お嬢様。




「アリサ、お前はさ。ちょっとツンツンしてるくらいが可愛いよ」


「…かわいく、ないわ、」


「いやわりと好きなんだよな俺。お前の泣き顔」



それだってサラッと言ってしまう。

この男はそれが普通なんだろうって、そう思うと嬉しくもない。


初恋の許嫁だった男の子には振られてしまって、こうして婚約者だった男も他の女の子が好きで。

私なんか最低な姉だから、“ただのアリサ”を好きになってくれる人なんか今後だってありえない。



「アリサ、今度俺とデートしてみる?ファミレス?だっけ。行ってみない?」


「…もういいのよ、そういうのは。別に柊と早乙女を無理やりにも繋げる必要ないわ」


「俺がお前とデートしたいんだけど。柊とか早乙女とか関係なく、今日の回転寿司だって俺すごい楽しかったんだよ」



それはエマがいるからでしょう?

もし私と2人だったら、こうしてまた誘ってなんかくれないわ。


エマ。

お姉ちゃんは本当はね、エマのおかげですべてが手に入ってるの。



「ずっと…叩くわよ、」


「その照れるとビンタするメカニズムなに?それで逆に燃えるのなんか俺くらいだけど」



反応できないでいると、車は近くのコンビニエンスストアで停まった。

人の目のないような端の駐車場。



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