俺の好きにさせてください、お嬢様。
御子柴の伝説
「ハヤセっ!これ理沙がハワイに行ってきたお土産のジャム!今日はこれっ!」
「かしこまりました」
ごくありふれた朝。
ありふれた朝食風景、ありふれはしないイケメン執事。
パンにジャムを塗ってくれるハヤセ、瓶の蓋をパカッと───今日は手こずっているようだ。
「……」
「ハヤセ?わたしがやるっ!」
「…いえ、俺にお任せください」
「でも結構キツそうだよ…?」
「大丈夫です」
ぐぐぐっと、明らかに力を込めているエリート執事さん。
それでも開く感じがしない瓶の蓋。
「…ふざけんなよ、固すぎだろ」
わぁ、降臨させちゃってる。
まさか瓶の蓋が俺様ハヤセを引き出せちゃうなんて。
「エマお嬢様、今日はこちらのジャムにしましょうか」
「……うん」
食べたかったなぁ…。
ハワイ限定だっていうし、今日のパンだってジャムを楽しむようなものだ。
「やっぱり開けます、少々お待ちください」
ただ執事の作法的には、瓶を割るという考えだけは絶対にしてはならないものらしく。
どうにかしてでも蓋を開けようと頑張るハヤセ。