俺の好きにさせてください、お嬢様。
「小林~、もうクロとシロとは仲良くなれた?」
お腹を撫でるとごろーんと寝転がって、気持ち良さそうに小さく鳴く小林。
クロとシロは相変わらずハヤセのほうに懐いてしまっていて。
「…エマお嬢様、小林はやっぱりやめませんか?」
「もう小林も小林で覚えちゃったから!ねぇ小林っ!」
ニャーーーと、か細くも陽気な声で返事をしてくれた。
それでもハヤセは納得してないみたいで。
そんなにだめ…?
ちょっとユーモアがあって変わってるから、逆に新鮮で良いと思うのに。
「…他の男の名前を呼んでいるみたいで嫌なんです」
「そんなこと言っても猫ちゃんだもんっ!」
「でしたら俺がシロを“恵美(えみ)”と呼んだとしたら、どう思いますか?」
なんでその名前だ……っ!!
恵美って、どう考えてもあなたがいつかに仲睦まじそうに話していた社交ダンスの先生じゃんっ!!
セレクトおかしいでしょっ!!
ハヤセの引き出しってレパートリーないの!?
「べ、別に呼べばいーじゃん!」
「わかりました」
うわぁぁんっ!
もうまた意地張っちゃった…!!