俺の好きにさせてください、お嬢様。
「ねぇバカエマ~?あんた今日早瀬さんに何されたの?」
「……なに、されたの…?」
「あー、ダメねこれ。もう意識ほとんど無いわ」
「うん、だめねこれ、」
「……バカエマ!!しっかりしなさいよ!!」
ガクガクと理沙に肩を揺らされて、前に後ろに首が揺れるお昼休み。
そんなこと言われたって頭がね、くらくらっとなって。
思い出すと幸せなくらいドキドキするのに、そこにある顔はすべて舌を出すようないじわるな執事ばかりで。
「早瀬さんもこれじゃあバカエマの身体が持たないんじゃない?ねぇ碇」
「そ、そうです…!それに私たちは執事だぞ早瀬さん…!」
「知ってる。だけど、これはもう俺とエマお嬢様の絆ですから」
えっ、あれって絆なの…?
そんな綺麗な言葉で片付けちゃうハヤセも中々だよ?
だってそれって、結構すごい絆だもん…。
「きゃっ!!あんた鼻血っ!!鼻血でてるわよバカエマ!!」
「ちょっ、早瀬さん!!エマお嬢様が鼻血を…!!」
「ふっ、可愛くてたまんねえだろ」
「「えっ」」
理沙と碇は同じ声を上げて同じ反応をしてハヤセを見つめた。
そんなものを気にも止めずに、わたしの前にしゃがんでティッシュをサッと当ててくれる。
───と、ハヤセの顔はわたしのほっぺに近づいた。