俺の好きにさせてください、お嬢様。
「わ…っ」
ちゅっ───…。
理沙と碇になら見せてもいいと判断したのだろう。
まさかここまでの関係だとは思っていなかったらしい2人は、今まで見たことないくらいに目を見開いた。
「み、見てない……私なにも見てないわ、ねぇ碇」
「は、はいっ!え、なにかありましたか理沙お嬢様っ!」
「ないわ。なにもないわ、さぁ食べましょ」
「すぐにご用意いたします…!」
こーいうときにはなぜか不思議と冷静に物事が判断できるようで。
わたしはずっとずっと気になっていたことを思い出した。
「そうだ理沙っ!ジャム!あれ瓶の蓋が開かなくてねっ!ハヤセでも無理だったの…!」
「…あんたほんと人生楽しそう。あぁ、あれね、碇もそうだったわ」
「えっ、じゃあどうやって開けたの!?」
それはハヤセも気になるようだ。
わたしたちの視線は一気に理沙へと注目。
「これびっくりするわよ?ある人に開けてもらったんだけどね、聞きたい?驚くわよ?」
「なにそれっ!聞きたいっ!!」
「……いたのよ、伝説の男が」
途端に理沙は真剣な眼差しに変わった。
ゴクリと、思わず誰もが息を飲む。
「で、伝説の男…?」
「そうよ、その界隈では70年に1人と言われてるらしいわ」