俺の好きにさせてください、お嬢様。
70年に1人…!!
えっ、それってなんの伝説…?
「“瓶蓋裁きの御子柴”って男よ」
「……」
なにそれ。
えっ、みこしばって……わたしが思いつく限りの“御子柴“は。
「あっ!アリサさんよ!こんにちはアリサさんっ!」
「こんにちは」
あ、ちょうど来てくれた。
お姉ちゃんのうしろに付いている、プルプルした老人だけども。
「おおぅ、お嬢さん、お元気そうですかな」
「おじいちゃんっ!ギックリ腰治って良かったねっ」
「心配かけてしもて……また生き延びてしまったわい…」
「まだまだおじいちゃん現役だからっ!」
うん、彼ではないはずだ。
そうなるとどこの御子柴さん?
この学校にいるの?
逆にそこまで探し当てないと開かないジャムの瓶ってほうがすごい気もしてくる…。
「彼よ、バカエマ」
「えっ」
「伝説の“瓶蓋裁きの御子柴”は」
「えっ?」
理沙はまっすぐに御子柴さんを見つめていた。
そして碇もコクコクとうなずいている。
「あーーーっ!!!」
「こらエマ、食堂では騒がないの。それにどうして鼻にティッシュ詰めてるのよ…」
ごめんお姉ちゃんっ!!
でも今はそれどころじゃないの…!!
つい立ち上がってしまった理由はひとつだけ。
「ハヤセさっき理沙たちの前でチュッてしたーーーー!!!」
今かよ!!!と、理沙と碇のツッコミが食堂に響いた───。