俺の好きにさせてください、お嬢様。
「ふむ、お嬢さんにも見せるときが来たようじゃな……ジジイの本気を」
ジジイの本気…!!
わたしとハヤセが暮らすマンションの一室、目の前に置かれた瓶と向き合う御子柴さん。
しーんと静まり返った空気。
ここから何が行われるのかと、ハヤセもわたしも邪魔をしないように見つめた。
「ふぉぉぉぉぉ……!!!」
すごい、なんか気合いを溜めてる…!!
見たこともないような構えで、ギックリ腰をしてしまったマイペースなおじいちゃんじゃないみたいだ…。
「───今じゃっ!!」
どうやら今の動きはタイミングを計っていたらしいのだ。
カッ!と目を見開いたおじいちゃんは、とうとう瓶を手に取った。
「ふんぬぅぅぅぉぉぉおおおおお!!!」
「頑張れおじいちゃんっ!!」
───パカッ。
え………開いた…。
とうとうハヤセでも無理だった強敵の蓋がおじいちゃんの手によって。
いや、伝説と謳われる“瓶蓋裁きの御子柴”の手によって。
「開いたーーーっ!!!すごいよおじいちゃん!!ありがとうっ!!」
「ざっとこんなものよの」