俺の好きにさせてください、お嬢様。
いやいやいやいや!!!
そんなの丁寧に答えなくていいんだよ店員さんっ!!
てかハヤセ!!
なに考えてるの……!!
「…そうですか、わかりました」
「すみません…お力になれず」
「いえ、大丈夫です」
絶対そうだ……。
この男、わたしに付ける気だった…。
「もうっ!ハヤセのバカっ!!わたし赤ちゃんじゃないっ!!」
「…修学旅行は台湾ですよ?迷子になったら一発でアウトなんですから」
「ならないよっ!!わたしにはハヤセがいるもんっ」
ほらーーっ!!
クスクスお客さんにも店員さんにも笑われちゃってるじゃんっ!
けれどハヤセは、わたしのその返事にどこか嬉しくなったようで。
スッと顔を近づけてくる。
「楽しみですね、エマお嬢様」
「っ…、うんっ!」
高校生になって初めての修学旅行。
そして何より、大好きな人との旅行。
ハヤセとはいつか一緒にイタリアに行こうと約束していて、それもすごく楽しみだった。
「俺と一緒に寝るんですよ?」
「えっ、3人部屋だから…!執事は隣の部屋だよ…!」
「そんなもの抜け出せばいいだけです」
こうやって丁寧なときは案外いじわるな顔をしてくる、早瀬 真冬という執事───。