俺の好きにさせてください、お嬢様。




そんな甘い甘いお菓子が与えられて、わたしは一瞬で静かになった。

顔を覗き込むようにくすっと笑ってくるハヤセ。



「おい、本当にエマお嬢様が大人しくなったぞ…」


「すげぇさすが早瀬さんだ…。どんなお菓子あげたんだよ…」



これはわたしとハヤセの秘密だ。

普通のお嬢様と執事ではありえない、そうなってはいけないタブーのようなものだから。


あ…、でも理沙と碇は知ってるかもしれないけど…。



「台湾に行ったら何がしたいですか?」


「…えっとね、…肉まん食べるの」


「ふっ、エマお嬢様らしいですね」



どーいう意味だ。

体型が肉まんってこと?
あの小さくてコロコロしてる感じが似てるって?

それとも食いしん坊だからってこと?


けど、それも許せてしまう修学旅行マジック。


だって楽しみだもんーーーっ!!

ハヤセと3泊4日だよ?
こんなイケメンさんと旅行だよ?



「天気……悪くね?」



飛行機から降りて、ひとりの執事はどんより曇った空を見上げてつぶやいた。

日本とは空気さえも違う気がする、ここは台湾。


近い国だから4時間ほどで到着。



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