俺の好きにさせてください、お嬢様。
そして隣の部屋は執事専用となっている。
いつ何があるか分からないから、すぐに駆け付けられるようにとのことで。
『エマ、迷子とかになってない?大丈夫?』
「うん!あのねお姉ちゃん!これからお風呂に入ってくるよっ」
『あまり真冬くんにも心配かけさせちゃだめよ?』
「わかってる!また写真送るねっ!」
わたしのことが心配らしいお姉ちゃんは、こまめにメールをくれていた。
今も電話の先でホッとしたように笑って、お母さんみたいにわたしのことを考えてくれる。
ある意味それは、すれ違っていた時間を埋めてくれているのかな…なんて。
「理沙っ、この温泉泳げるくらい広いよ!!」
「ちょっと!さすがに泳がないでよね!?」
「あははっ、冗談だよっ!そんなのしたら理沙また溺れちゃう!」
「うるさいわっ!!」
まるで学校の温水プールだ。
けれど修学旅行の特別感が、そう思わせることをしない。
広々とした場所には慣れているお嬢様たちだけど、みんな楽しそう。
「……理紗、大きい…」
「え?」