俺の好きにさせてください、お嬢様。
「ワンちゃんみたいな子ネ。でもオンナは嫌いアルヨ」
「迷子になったノ?どこから来たノ?ジャパニーズ?やーん、ジャパニーズのオトコはサイコーなのヨォ!」
……どうやらエマは今日、命日らしい。
右を見てもオカマさん。
左を見てもオカマさん。
迷子になって走って歩いて辿り着いた場所は、オカマさんの溜まり場。
「うわぁぁぁんっ!!せっかくハヤセとの修学旅行なのにーーっ!!」
「ほらほら泣かないノ。これノンデみ?美味しいヨ」
「お酒…?わたしまだ子供だもんっ」
「これ、見たことナァイ?」
あ、見たことアール…。
これって日本のスーパーにも売ってるジュースだ。
パッケージも日本語だし…さすがジャパンタウン。
「……いただきます」
「それ飲んだら帰ってヨ?ここはオトナの店アルヨ」
「……うん」
って言っちゃってるけど、帰り道わからないぃぃぃっ!!
それにスマホだってハヤセに預けてあるもん……。
どうしよう、どうしよう…!!
「うわぁぁんハヤセ…っ!エマの最後はオカマさんに囲まれるのなんか嫌だぁぁっ」
───と、同じタイミングでカランカランと入り口のベルが鳴った。