俺の好きにさせてください、お嬢様。
薄暗い中でもきらびやかな光を放つ店内に、それ以上のキラキラ輝いた人が訪れたらしい。
オカマさんたちは一斉に「キャーーーッ!」と、声を揃えて歓喜の悲鳴。
「お迎えに上がりました、エマお嬢様」
「ハヤセ…っ!!」
やっと来た。
ずっと待っていた、お説教されてもぜんぶ受けるつもりだエマは。
飛びつくように抱きつくと、ホッとしたように抱きしめ返してくれる。
さぁ帰りましょうか───なんてハヤセの声は、他の手によって止められた。
「いいオトコ来たァ!!帰さないわヨ~~?」
「アタシと今日シない?サイコーなオアシス知りたいデショ?」
一瞬にして囲まれたハヤセ。
囮を捕らえる獣のように、オカマさんたちはハヤセの腕を掴んだ。
「Mi dispiace, non parlo giapponese.」
「え?なんて言ってるノ?」
「È disgustoso, abbastanza.」
うわわっ!!
まさかハヤセ、イタリア語で乗り切るつもり……?
日本語を話せない程(てい)で押し通すつもり……!?