俺の好きにさせてください、お嬢様。




顔を青白くさせ、今にも吐きそうな顔をしているエリート執事。


確かに青髭が目立つゴリゴリのオカマさんだもんね…。

お化粧の匂いがふわっと、たくさんの香水の匂いもモワッと。


わたしはそーーっと遠くから様子を見ることにした。



「エマお嬢様、こちらに来てください」


「なにヨ~~!日本語ペラペーラじゃないノ!」


「…Signorina Emma, presto.」



いやもう遅いよハヤセ…。

言い直したって無駄だと思う。


ここはえいえいおーだよハヤセっ!!

下手に動いて追いかけられるほうが地獄だと思うから!!



「カワイイ~!キスしてイーイ?」


「……は?」



え、……え!?

ちょっと普通にハヤセに近づいてる!!
それは嫌だーーーっ!!


───ぶちゅっ。



「ドーオ?アタシのキス、上手デショ?」


「……」



oh……。

ほっぺたに容赦なく真っ赤な口紅が付いてしまったハヤセ。

こういったノリは彼も苦手らしく、避けきることができなかったみたいで。



「あーーっ!!もう!!だめーーっ!!」


「なにヨ~?もしかしてあんたのオトコなノ?」


「そーなの!おじさんにキスされたってハヤセ嬉しくないから…っ!!」


「ちょっとォ!!オネェさんヨ!!」



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