僕は、空の上から君を見守る
「痛い!痛い!」
ブヒっ!
ルーホーが落ちたのは大量の藁の中。
ブヒッ!
その、主はピンク色で丸いフォルムをした、
ブタちゃん達。
水や地面に比べて、建物の屋根の強度はそこまで強くはない。
さらには牧場。
そこの餌小屋であれば、干し草が沢山あるのは必然。
そこへ落下する事で
クッションとなり、ルーホーは助かった。

しかし、餌を荒らす輩に
豚達はご機嫌ななめ。
ブヒッ!ブヒッ!
ルーホーの足をガジガジ噛むと
鼻を鳴らしながら地面を蹴り、
今にも突進してきそうな感じで
威嚇してくる。
「ごめん!分かった!出てくよ!出てくから!!」
ルーホーはそそくさと豚小屋をあとにした。



目の前に広がる光景。
それはハントの瞳の中にいつも広がる光景。
ルーホーは確かに
ブルーの住む街に到着した。
「あっ!ウォルスは!?」
周りを見渡してもウォルスの影は見つからない。
散り散りに飛ばされ、
見当もつかず
途方に暮れていると
何やらあちらの方から
人の騒ぐ声が聞こえてくる。
「まさか!!」
ルーホーはもしかしてウォルスが居るかも!
と、希望を抱き、
声の聞こえる
川の方へ向かった。



川に到着したルーホー。
そこは以前から知っていたその川の姿からは変貌し
川の流れが完全に2つに別れていた。
その一方が向かう先には街。
集まる人々は必死に別れた流れを
止めようとするが
元々川幅140m、水深20m近くもある
超巨大なライン川の支流。
その氾濫の水圧は尋常じゃなかった。

「おい!土をどんどん持って来い!!」
ある男の指示の下どんどん土を流し込む。
が、大量の土はすぐさま水流と化して流れていく。
「エッホ!エッホ!」
反対側からは数人の男が大きな岩を担ぎ込む。
「ほれ!!」
ザブーーン!
と、沈んだ大きな岩も直ぐに姿を無くす。
それだけで水深が恐らく3mは超えているだろうと
想像が出来る。
パット見氾濫している幅は10m弱。
そこから3mの水深で流れる水の水圧は
30トンはゆうに超える。
現代で換算すれば学校などの25mプールが流れて
来ているようもの。
それを一気にせき止めるのは難関極まりなかった。

しっかりと川と化した流れの先を見つめるルーホー。
この先には花畑。そして街がある。
『きっとこうしている間にも
街はどんどん浸水している。』
早く何とかしなくては。
ルーホーは辺りを見渡し考えを巡らせる。
流されてしまう土、転がっていく小石や岩。
『何か、、、何かないか、、、』
漁で鍛えたような漁師街の男達が力いっぱい
やっても難しい作業。
『川幅は10m弱、、、。』
そう、考えている時、一つのものが
ルーホーの目に止まる。
「あれだ!!!」
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