赤い雫のワルツ
部屋の真ん中で、気を失った女性を抱き抱えたまた、女性の首元に二本の長い牙を立てて、欲望のままに口を動かすその姿。
まだ入る時では無い……もう少し、その時が来れば、直ぐに分かる。
「ああ……美味い……全身に力が漲るぞ……もっと私に血を寄越せ。その身に流れる全ての血を!」
不気味な笑みを浮かべながら、深く深くその牙を立てては、貪るように血を啜る。
女性は生死を彷徨うギリギリの所で、なんとか命を繋いでいる。
気絶してはいるものの、ピクリと身体が小さく反射的に動き――そして。
「……すぅ。流石に牙を立てすぎたか?もっとこう、優しく……啜ってやった方が、この女の為か……?」
はい、出ました。
まったく……そこまでやっておいて、同情する【吸血鬼】が何処にいますか。