悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います
プロローグ
プロローグ
「レティシャ・エル・センテンシア。国家反逆罪および、第二王子暗殺未遂の罪で貴様を処罰する」
きらびやかなドレスで着飾った貴族たちがひしめく王城の舞踏会のその席で、赤髪の整った容姿の男性、第二王子のゲオルグが私に告げる。一気にざわめく会場。
(ああ。いつも通りだ)
いつも断罪される寸前に記憶がよみがえる。
──私は田舎の領地を治める子爵の娘だった。幼い時は貧しいながらもそれなりに幸せにやっていた。けれど父に後妻が来てから、私の人生は一変する。
十歳の時、魔力の高さに目をつけられ、後妻に無理やり父から引き離されて、その後第二王子の妃候補にされてしまう。そして十八歳になると必ず裁かれる。
どうせ反論しても結果は変わらない。もうすでに五十二回も繰り返した断罪シーン。
最初の頃はなんとかしようと弁明したけれど、いつも結果は変わらなかった。
私はここでやってもいない罪で裁かれて殺されるのだ──。
ゲオルグ王子の隣には、彼に寵愛された女性がいる。
王国一の経済力と軍事力を誇り、我が国で一番権力を持つといわれる領地の娘。
第一妃候補といわれた侯爵令嬢、マリエッテ・シャル・クランベルダだ。
黒髪で清楚な美人の彼女は気品にあふれ、どんな人にも優しいと世間で評判の女性。
でもそれは仮の姿。私は彼女の本性を知っている。
とても狡猾で、言葉巧みに他人を操っては敵対する誰かを陥れるような、恐ろしい女なのだ。
けれど私が彼女の本性を語ったところで、誰も相手にしてくれない。
そう、私はどんなにあがいてもここで裁かれるのだから。
「なにか申し開きはないのか?」
ゲオルグ王子が冷たい視線を投げかけてくる。
「……なにもありません。どうぞ、邪魔者を殺しておふたりでお幸せに」
そう言った瞬間。私は兵士に押さえつけられた。
「レティシャ・エル・センテンシア。国家反逆罪および、第二王子暗殺未遂の罪で貴様を処罰する」
きらびやかなドレスで着飾った貴族たちがひしめく王城の舞踏会のその席で、赤髪の整った容姿の男性、第二王子のゲオルグが私に告げる。一気にざわめく会場。
(ああ。いつも通りだ)
いつも断罪される寸前に記憶がよみがえる。
──私は田舎の領地を治める子爵の娘だった。幼い時は貧しいながらもそれなりに幸せにやっていた。けれど父に後妻が来てから、私の人生は一変する。
十歳の時、魔力の高さに目をつけられ、後妻に無理やり父から引き離されて、その後第二王子の妃候補にされてしまう。そして十八歳になると必ず裁かれる。
どうせ反論しても結果は変わらない。もうすでに五十二回も繰り返した断罪シーン。
最初の頃はなんとかしようと弁明したけれど、いつも結果は変わらなかった。
私はここでやってもいない罪で裁かれて殺されるのだ──。
ゲオルグ王子の隣には、彼に寵愛された女性がいる。
王国一の経済力と軍事力を誇り、我が国で一番権力を持つといわれる領地の娘。
第一妃候補といわれた侯爵令嬢、マリエッテ・シャル・クランベルダだ。
黒髪で清楚な美人の彼女は気品にあふれ、どんな人にも優しいと世間で評判の女性。
でもそれは仮の姿。私は彼女の本性を知っている。
とても狡猾で、言葉巧みに他人を操っては敵対する誰かを陥れるような、恐ろしい女なのだ。
けれど私が彼女の本性を語ったところで、誰も相手にしてくれない。
そう、私はどんなにあがいてもここで裁かれるのだから。
「なにか申し開きはないのか?」
ゲオルグ王子が冷たい視線を投げかけてくる。
「……なにもありません。どうぞ、邪魔者を殺しておふたりでお幸せに」
そう言った瞬間。私は兵士に押さえつけられた。
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