そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
花々里(かがり)、大丈夫? 気分悪い?」

 それをそう解釈したのか、心配そうにすぐそばから頼綱(よりつな)にそう問いかけられて。

 私は慌ててゆるゆると首を横に振る。

 気分が悪いのとは少し違う。

 何だかよく分からないけど……この感じはお腹が空いた、とか眠たい、とか……そういうのに似ている気がするの。

 そうしてこれは――。

「あのっ、あなたがそばにいると収まらない気がするので……離れてもらえると有難いですっ」

 そう。そんな感じの……。変な感覚なの。

「分かった」

 でも私がそう言って頼綱(よりつな)を恨みがましく睨みあげた途端、何故か彼は嬉しそうに微かに笑って、案外やすやすと引き下がってくれた。
 もう少しゴネられるかと思っていたから、拍子抜けしてしまったくらい。
< 100 / 632 >

この作品をシェア

pagetop