そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 自分で歩けるから降ろして欲しいと訴える花々里(かがり)に、もっともらしいことを言って降ろしてやらなかったのは。


 布越しとはいえ、キミの身体が自分に密着していると思うと、結構()()ものがあって……。
 そのまま抱き続けていたらマズイかも?というのは薄々分かっていたのに、俺はキミを手放すことが出来なかったんだ。


 本人が自覚しているかどうかは定かではないけれど、とにかく腕の中の花々里は反則だろ、というほど色っぽくてヤバかったんだ。


 緊張のためか全身にギュッと力が入ってしまっているのも。
 それなのに腕に感じるキミの身体がふわふわと柔らかかったのも。

 おまけに()()甘い、いいにおいまでしてくるとか、平常心でいろって方が無理だろ?


 そんなキミを前にして、俺の人称が、タガが外れたように「僕」へ切り替わってしまったのは、ある意味必然だったのかも知れないよね?
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