そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
あ。ご褒美と言えば子供の頃、なんにも対価なんて払っていないのに……美味しいものを沢山くれるお兄さんがいた。
いつの間にか会えなくなってしまったし、私は彼が差し出す食べ物――手元――ばかりを見ていて顔も覚えていないけれど。
毎日のように頬っぺたの蕩けるような絶品スイーツをたんまりくれて、「いい子」って優しく抱きしめられていた。
そんな幸せな記憶だけ、心の片隅にうっすらとある。
寛道も、あのお兄さんの爪の垢を煎じて飲めばいいんだわっ。
抱きしめるのは却下だけど。
どうせ週明けには大学で会うはずだし、用があったらまた掛けてくるでしょ。
わざわざかけ直さなくてもいいや。
電話代かかるし。
それに……これに気づいた時の私、正直そういうことを気にしていられるほど気持ちにゆとりがなかったから。
頼綱のせいでずっとモヤモヤして気持ち悪いし、本当は布団を頭から被って、まん丸になっていたかったくらい。
でも、大先輩の八千代さんを待たせるわけにはいかなかったから。
だから慣れない環境で頑張ったのよ、私なりに。
「たけのこの鶏そぼろ煮ぃ〜。たけのこの鶏そぼろ煮ぃ〜」
そんな、魔法の呪文?を唱えながら。
寛道のことは園児のころから見知った仲という甘えもあって。
私、少なくとも今すぐには折り返さなくていいという選択肢を選んで、そそくさと台所に向かったの。
少しだけね、ごめんね寛道って思いながら。
うん、少しだけ!
いつの間にか会えなくなってしまったし、私は彼が差し出す食べ物――手元――ばかりを見ていて顔も覚えていないけれど。
毎日のように頬っぺたの蕩けるような絶品スイーツをたんまりくれて、「いい子」って優しく抱きしめられていた。
そんな幸せな記憶だけ、心の片隅にうっすらとある。
寛道も、あのお兄さんの爪の垢を煎じて飲めばいいんだわっ。
抱きしめるのは却下だけど。
どうせ週明けには大学で会うはずだし、用があったらまた掛けてくるでしょ。
わざわざかけ直さなくてもいいや。
電話代かかるし。
それに……これに気づいた時の私、正直そういうことを気にしていられるほど気持ちにゆとりがなかったから。
頼綱のせいでずっとモヤモヤして気持ち悪いし、本当は布団を頭から被って、まん丸になっていたかったくらい。
でも、大先輩の八千代さんを待たせるわけにはいかなかったから。
だから慣れない環境で頑張ったのよ、私なりに。
「たけのこの鶏そぼろ煮ぃ〜。たけのこの鶏そぼろ煮ぃ〜」
そんな、魔法の呪文?を唱えながら。
寛道のことは園児のころから見知った仲という甘えもあって。
私、少なくとも今すぐには折り返さなくていいという選択肢を選んで、そそくさと台所に向かったの。
少しだけね、ごめんね寛道って思いながら。
うん、少しだけ!