そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 ミディアムロングの、オリーブベージュ色の髪の毛をかき乱されて、せっかく綺麗に内巻きにできてるのに崩れちゃう!と思って、

「ちょっ、なっ、何するんですかっ」

 言いながら思わず頭を押さえたら、まだ頭上に載せられたままだった御神本(みきもと)さんの手の上に手のひらを重ねてしまった。

「ひぁっ」

 異性の手に触れたのなんて、小学生の頃のダンス以来だよぅ。

 あ、待って! そういえば中学生の頃に更新したわっ。運動会で迷子になっていた、幼稚園児の男の子の手を引いてママを探して歩いたもの!
 ん!? 幼児はカウントしちゃダメ?
 ちっさくても異性だからいいよね?

 まぁ、でも。それを含めたとして……いずれにしても何年も前なことに変わりはないわけで。
 劇的に異性に免疫のない私は、不覚にも想定外の接触事故にドキッとしてしまった。

「ご、ごめんなさっ」

 ドギマギしながら慌てて手をのけようとしたら、ニヤリと不敵に微笑まれて手首を掴まれた。

「では、行こうか、()()可愛い子犬ちゃん」
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