そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
「む、胸元に仕舞い込んだ書類っ! もう1度見せてください! 証人欄とか母の同意とか何ですか? 私が名前を書いたところ、〝妻〟って書かれてた気がするんですけど! ――ゆ、指だって勝手に使われたの気になりますしっ」
そこでさっき朱肉をつけられてほんのりと赤く色づいたままの右手親指を彼に向かって突き出す。
「――何を今更」
はぁと溜め息混じりに言われて、私の方に義があるはずなのに、何故かグラつきそうになる。
え? おかしいの、私?
ち、違う……よね?
「さっきの書類の証人欄を成人した誰かに埋めてもらって、キミのお母様に結婚に同意する旨の但し書きを頂いて役所に提出すれば、村陰花々里は俺の妻の御神本花々里になる。それだけのことだ」
開いた口が塞がらないという言葉を、身をもって経験したのは今日が初めてです!
口をポカーンと開けすぎて、危うくよだれが垂れてしまいそうになる。危ない、危ないっ。私は慌てて口を閉じた。
だ、だいたいっ、プロポーズとかありました?
私がおバカで忘れてるだけ?
妻になること前提で云々がそれだとしたら「んなバカな!?」ですよ?
何にしてもっ。そんなインパクトの薄い求婚ダメでしょう?
百歩譲ってそれがアレだったとして……私OKしてないしっ。
そういう諸々をすっ飛ばして婚姻届書かせる人って、絶対おかしい人よね? 感覚ズレてるの、御神本さんの方だよね?
そこでさっき朱肉をつけられてほんのりと赤く色づいたままの右手親指を彼に向かって突き出す。
「――何を今更」
はぁと溜め息混じりに言われて、私の方に義があるはずなのに、何故かグラつきそうになる。
え? おかしいの、私?
ち、違う……よね?
「さっきの書類の証人欄を成人した誰かに埋めてもらって、キミのお母様に結婚に同意する旨の但し書きを頂いて役所に提出すれば、村陰花々里は俺の妻の御神本花々里になる。それだけのことだ」
開いた口が塞がらないという言葉を、身をもって経験したのは今日が初めてです!
口をポカーンと開けすぎて、危うくよだれが垂れてしまいそうになる。危ない、危ないっ。私は慌てて口を閉じた。
だ、だいたいっ、プロポーズとかありました?
私がおバカで忘れてるだけ?
妻になること前提で云々がそれだとしたら「んなバカな!?」ですよ?
何にしてもっ。そんなインパクトの薄い求婚ダメでしょう?
百歩譲ってそれがアレだったとして……私OKしてないしっ。
そういう諸々をすっ飛ばして婚姻届書かせる人って、絶対おかしい人よね? 感覚ズレてるの、御神本さんの方だよね?