そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 結局、私の携帯のあれこれについても何となく分かったような、分からないような……。

 だけど私以外の2人は理解できてるみたいだし、まぁいっか、と思う。

 私は番号が変わらないっていうのさえ分かれば十分。
 みんなに新しい携帯番号を知らせなくていいのはすごく有難いし、私自身も自分の番号を覚え直さなくてもいいのがとっても嬉しい。


 私、ガラケーを壊してしまったけれど、幸いレトロな人間なので必要な番号はちゃんと手帳に書き留めてある。

「偉い?」

 って鞄から手帳を取り出しながら頼綱(よりつな)に威張っていたら、同じタイミングで壊れた携帯を照査していたショップ店員のお姉さんから「村陰(むらかげ)さん、どうやらデータ、microSDに入ってるみたいです。良かったですね」とにこやかに微笑まれた。

 マイクロエスディー?

 ああ、携帯に突っ込んであった、あのちっこくて黒いやつ!

 お姉さんが私のバキバキの携帯から取り出したらしい、薄っぺらい爪くらいの大きさのものをトレイに載せて差し出してくださったのを見て、「そう言えばこの携帯を契約した時に店員さんに勧められるままにそんなの入れてたっけ」と思い出した。
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