そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
「まぁ! 先程から仲睦まじいお似合いのおふたりだなって思っていましたが、ご婚約を! おめでとうございます!」
「有難うございます。実は色々ありまして指輪がまだなんですが、それもすぐにと思っています」
だから契約者名を未来のご主人に、とか何とか……。
ひとりパニックでオロオロする私を置き去りに、店員さんと頼綱がふたりで勝手に盛り上がってしまう。
「あ、あのっ」
必死で携帯を持つ手をブンブン振り回しながら何とか口を挟もうとしたら、頼綱にスマートフォンをスッと取り上げられてしまった。
一瞬手からすっぽ抜けて飛んでいったのかとドキッとした私は、頼綱が私のスマートフォンを手にしているのを見てホッと安堵する。
先のガラケーみたいに放り投げられては敵わないと思われたのかな?
そう思って申し訳なさげに眉根を寄せて頼綱を見つめたら、何故かニコッと微笑まれて。
「あの、大変申し訳ないのですが、お祝いついでにこれで俺たちを撮ってもらえませんか?」
――記念に壁紙にしたいので。
にっこり笑って無駄に低温な美声でそう付け加えると、頼綱が一緒に決めた0303――頼綱の誕生日、ひな祭りだった!――でロックを解除して、私のスマホをお姉さんに差し出した。
店員さんは頼綱の色香に当てられたように一瞬瞠目すると、それでもさすが接客のプロ。
すぐにハッとして、気持ちを切り替えるように「……喜んで!」とおっしゃった。
でも、その頬が少し紅潮しているのを、私は見逃さない。
そのことに、何だかモヤリとした後で、ふたりのやり取りの意味にやっと気がついて。
「有難うございます。実は色々ありまして指輪がまだなんですが、それもすぐにと思っています」
だから契約者名を未来のご主人に、とか何とか……。
ひとりパニックでオロオロする私を置き去りに、店員さんと頼綱がふたりで勝手に盛り上がってしまう。
「あ、あのっ」
必死で携帯を持つ手をブンブン振り回しながら何とか口を挟もうとしたら、頼綱にスマートフォンをスッと取り上げられてしまった。
一瞬手からすっぽ抜けて飛んでいったのかとドキッとした私は、頼綱が私のスマートフォンを手にしているのを見てホッと安堵する。
先のガラケーみたいに放り投げられては敵わないと思われたのかな?
そう思って申し訳なさげに眉根を寄せて頼綱を見つめたら、何故かニコッと微笑まれて。
「あの、大変申し訳ないのですが、お祝いついでにこれで俺たちを撮ってもらえませんか?」
――記念に壁紙にしたいので。
にっこり笑って無駄に低温な美声でそう付け加えると、頼綱が一緒に決めた0303――頼綱の誕生日、ひな祭りだった!――でロックを解除して、私のスマホをお姉さんに差し出した。
店員さんは頼綱の色香に当てられたように一瞬瞠目すると、それでもさすが接客のプロ。
すぐにハッとして、気持ちを切り替えるように「……喜んで!」とおっしゃった。
でも、その頬が少し紅潮しているのを、私は見逃さない。
そのことに、何だかモヤリとした後で、ふたりのやり取りの意味にやっと気がついて。