そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***

 上下の組み合わせを考える時間も惜しくて、ストライプシャツに萌黄(もえぎ)色のスカートを重ねたようなデザインの、重ね着風のワンピースを引っ張り出す。

 可愛いワンピだけれど、(そで)が半袖だったので、白い薄手のカーディガンを羽織った。

 朝晩はまだ肌寒く感じられることがあるから、薄手の長袖があると安心。

 暑かったら脱げばいい。


 服はこれでいいとして、さて足元はどうしよう。

 靴擦れが気になるので、とりあえず黒いクルーソックスを履いて、絆創膏が貼られた患部を隠してみた。


 ――履き慣れたスニーカーで行けば、歩くの支障ないかな?


 変じゃないかな?と姿見の前でくるくる回っていたら、扉をノックする音がして。

 時間がかかりすぎて、八千代さんにまたご心配をおかけしてしまったのかも!

 そう思った私は、急いで扉を開けて。

 目の前に八千代さんではなく頼綱(よりつな)がいたことに驚いて、思わず瞳を見開いて息を呑んだ。
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