そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
「足はどんなかね?」

 聞かれて、(かかと)に軽く視線を流された私は、靴下を履いた足をその場でとんとんと駆け足するみたいにステップを踏んで見せる。

「靴、まだ履いてみてないから分かんないけど……昨日みたいに薄手のソックスじゃないし、多分大丈夫!」

 言ったら、「用心のためにこれ、重ね貼りしておこうか?」とテーピングを差し出された。

 頼綱(よりつな)は本当に過保護だ。

 昨夜貼ってもらった絆創膏だけでも大丈夫だと思うのに。

 それでも、それだけ私のことを考えてくれているんだと思ったら、何だかほんわか心が温かくなって。


「――お願いします」


 今までの私だったらきっと、照れ隠しに「いいっ!」って突っぱねちゃってたと思う。

 でも、私、頼綱の気持ちに応えるって決めたから。


 甘えたい時にはこんな風にストレートに甘えても、いいんだよね?

 呆れていなくなったり……しないよね?
< 398 / 632 >

この作品をシェア

pagetop