そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
大学を休んだ日の夜。
すっかり一緒の布団で眠るものだと覚悟を決めていた私は、いつもより少し遅めの夕飯と入浴を済ませたあと、頼綱に客間――一番最初に御神本家にやってきた日に羊羹をご馳走になった和室――に通されて。
それは何だか常ならぬものを感じさせて、逆に頼綱の部屋に通されるよりドキドキしてしまう。
今から何が始まるんだろう?と頼綱の対面に座して目を白黒させる私に、あの日と同じように八千代さんがお茶――と言っても今日は紅茶――を出してくださって。
一緒に、卵の使用量が多くてスポンジの断面が黄色っぽく見える、クリームたっぷりのロールケーキが置かれる。
これ、多分お母さんが大好きだと言っていた城山ロールだ。
直感的にそう思って、そういえば前に頼綱が伝手を使って取り寄せられるように手配していると話していたっけ、と思い出す。
それが届いたんだって生唾を飲み込みながら思っていたら、
「八千代さんもこのまま」
お茶を出すなり退室しようとなさった八千代さんを呼び止めて、頼綱が居住まいを正して私の前に正座した。
もうそれだけで私、緊張のあまり口から心臓が飛び出しそうで。
ロールケーキに前のめりになっていた姿勢を、心を鬼にしてグッと起こした。
すっかり一緒の布団で眠るものだと覚悟を決めていた私は、いつもより少し遅めの夕飯と入浴を済ませたあと、頼綱に客間――一番最初に御神本家にやってきた日に羊羹をご馳走になった和室――に通されて。
それは何だか常ならぬものを感じさせて、逆に頼綱の部屋に通されるよりドキドキしてしまう。
今から何が始まるんだろう?と頼綱の対面に座して目を白黒させる私に、あの日と同じように八千代さんがお茶――と言っても今日は紅茶――を出してくださって。
一緒に、卵の使用量が多くてスポンジの断面が黄色っぽく見える、クリームたっぷりのロールケーキが置かれる。
これ、多分お母さんが大好きだと言っていた城山ロールだ。
直感的にそう思って、そういえば前に頼綱が伝手を使って取り寄せられるように手配していると話していたっけ、と思い出す。
それが届いたんだって生唾を飲み込みながら思っていたら、
「八千代さんもこのまま」
お茶を出すなり退室しようとなさった八千代さんを呼び止めて、頼綱が居住まいを正して私の前に正座した。
もうそれだけで私、緊張のあまり口から心臓が飛び出しそうで。
ロールケーキに前のめりになっていた姿勢を、心を鬼にしてグッと起こした。