そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***

 美味しいディナーのあとは私、ちゃんと別室に下がらせてもらえるのかな?

 ふとそんなことを思ったけれど、頼綱(よりつな)の顔を見たら何だか聞けなくて。



「ねぇ花々里(かがり)。この部屋の風呂は面白いんだよ? ジャグジーをつけるとね、浴槽の中が色んな色に光るんだ」

 キミが眠ってる間に試してみたんだけどね、と言われて、「私も入ってみたい、面白そう!」って思わず前のめりになってしまって。

「もちろん。あとで試してみるといい。着替えも用意してあるしね」

 ってにっこり微笑まれて「わーい」って喜んではみたものの――。


 あれれれれ?

 それって――。


 頼綱(よりつな)の物言いにちょっぴり不安になった途端、「子羊のロースト(ロティ)、食べてみるかい?」と、取り皿に載せたお肉を差し出されて。

 私、あっという間に頭がそっちに切り替わってしまった。

 子羊のロティ、菜の花のソースがかかっているとかで、黄緑色が鮮やかですっごく綺麗で。

 ほんのちょっぴり酸味のあるお味がアクセントになっていて、とても美味しくて思わず顔がほころんだ。

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