そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***
甘い蜜の香りに誘われるように路地裏に入り込んだ私が、幽現屋という屋号の趣きあるアンティークショップに辿り着いたのは、まるで必然みたいな偶然で。
そこの店主だと名乗った久遠桜子さんに勧められるまま、花の香りがする甘いシロップのような飲み物を口にしたのを思い出す。
久遠さんの自己紹介につられたように思わず名乗ってしまった私の顔を一目見るなり。
久遠さんったら何故か訳知り顔で
「花々里さん、貴女、お腹が空いているでしょう?」
って言ってくるんだもん。
別に腹ペコじゃなくてもドキッとするよね?
大人の魅力に溢れた魅惑の美女に、吸い込まれるような瞳で見つめられたら抗えない、よ、ね?
久遠さんが微笑して……「貴女を呼んだのはあの子だから」って、私にショットグラスを差し出してくる。
私は何かに突き動かされるように、それを受け取ってしまった。
私がグラスを持ったことに満足したようにニコッと微笑むと、久遠さんは横手の棚に並べられた沢山の小瓶の中から、迷うことなくアンティーク調のひとつを手に取る。
私の手の中のグラスに、いま取り出したばかりの小瓶から、琥珀色のトロリとした液体が注がれて――。
炭酸でも入っているのかな?
グラスの中、小さく気泡が上がるのが見える。
差し出されたままに思わずグラスを持ち続けてしまっているものの、いくら私だって訳のわからないものは口にしない。
でも、グラスの中からはすごく心惹かれる甘い香りが立ち昇ってきて。
――ここに誘われた時に嗅いだ香りに似てる。
そう思って恐る恐る鼻を近づけたら、一瞬で花畑に迷い込んでしまったみたいな錯覚におちいった。
甘い蜜の香りに誘われるように路地裏に入り込んだ私が、幽現屋という屋号の趣きあるアンティークショップに辿り着いたのは、まるで必然みたいな偶然で。
そこの店主だと名乗った久遠桜子さんに勧められるまま、花の香りがする甘いシロップのような飲み物を口にしたのを思い出す。
久遠さんの自己紹介につられたように思わず名乗ってしまった私の顔を一目見るなり。
久遠さんったら何故か訳知り顔で
「花々里さん、貴女、お腹が空いているでしょう?」
って言ってくるんだもん。
別に腹ペコじゃなくてもドキッとするよね?
大人の魅力に溢れた魅惑の美女に、吸い込まれるような瞳で見つめられたら抗えない、よ、ね?
久遠さんが微笑して……「貴女を呼んだのはあの子だから」って、私にショットグラスを差し出してくる。
私は何かに突き動かされるように、それを受け取ってしまった。
私がグラスを持ったことに満足したようにニコッと微笑むと、久遠さんは横手の棚に並べられた沢山の小瓶の中から、迷うことなくアンティーク調のひとつを手に取る。
私の手の中のグラスに、いま取り出したばかりの小瓶から、琥珀色のトロリとした液体が注がれて――。
炭酸でも入っているのかな?
グラスの中、小さく気泡が上がるのが見える。
差し出されたままに思わずグラスを持ち続けてしまっているものの、いくら私だって訳のわからないものは口にしない。
でも、グラスの中からはすごく心惹かれる甘い香りが立ち昇ってきて。
――ここに誘われた時に嗅いだ香りに似てる。
そう思って恐る恐る鼻を近づけたら、一瞬で花畑に迷い込んでしまったみたいな錯覚におちいった。