そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
お尻を撫でていた手が、背中を這い上ってきて、後頭部から髪の毛を鷲掴んだのが分かる。
そのままギュッと髪の毛を引っ張られて上向かされたところで、深く口付けられた。
「ん、んっ」
私の口中を余すところなく舐め上げた頼綱が、
「今日は口の中、随分と甘いじゃないか。百花蜜の影響がまだ残っているのか……?」
言って、あからさまに不機嫌な顔をして舌打ちをするの。
こんな感情的な頼綱、私、見たこと……ない。
「頼綱、な、んで、そんな……」
怒ってるの?
自分で考えろって言われたけど、皆目見当がつかないよ。
じわりと涙に潤んだ瞳で頼綱を見上げたら、吐き捨てるように言われた。
「僕以外から簡単に餌付けされるとか……ありえないんだけど?」
いつもより明らかに低められた声音で告げられた言葉に、私は瞳を見開いた。
「何のために僕がキミに毎日旨いものを食わせてると思ってる? 誰かに手懐けられたくないからに決まってるよね?」
私は食べ物に弱くて簡単に釣られてしまうところがある。
それを、頼綱がそんな風に心配していたなんて思いもしなかった。
「……ごめ、なさ……」
思わず謝ったら、
「金輪際、俺以外からホイホイ食べ物をもらわないこと。――約束できるね?」
ギュッと抱きしめられて、そう言われた。
私はどんどん頼綱に絡め取られていっている自分を不安に思いながらも、小さくコクリとうなずいた。
これは利害の一致、だよね?
……一方的な享受じゃないから……だからきっと、失くならない、はず?
そう自分に言い聞かせながら。
END(2021/01/08-01/12)
そのままギュッと髪の毛を引っ張られて上向かされたところで、深く口付けられた。
「ん、んっ」
私の口中を余すところなく舐め上げた頼綱が、
「今日は口の中、随分と甘いじゃないか。百花蜜の影響がまだ残っているのか……?」
言って、あからさまに不機嫌な顔をして舌打ちをするの。
こんな感情的な頼綱、私、見たこと……ない。
「頼綱、な、んで、そんな……」
怒ってるの?
自分で考えろって言われたけど、皆目見当がつかないよ。
じわりと涙に潤んだ瞳で頼綱を見上げたら、吐き捨てるように言われた。
「僕以外から簡単に餌付けされるとか……ありえないんだけど?」
いつもより明らかに低められた声音で告げられた言葉に、私は瞳を見開いた。
「何のために僕がキミに毎日旨いものを食わせてると思ってる? 誰かに手懐けられたくないからに決まってるよね?」
私は食べ物に弱くて簡単に釣られてしまうところがある。
それを、頼綱がそんな風に心配していたなんて思いもしなかった。
「……ごめ、なさ……」
思わず謝ったら、
「金輪際、俺以外からホイホイ食べ物をもらわないこと。――約束できるね?」
ギュッと抱きしめられて、そう言われた。
私はどんどん頼綱に絡め取られていっている自分を不安に思いながらも、小さくコクリとうなずいた。
これは利害の一致、だよね?
……一方的な享受じゃないから……だからきっと、失くならない、はず?
そう自分に言い聞かせながら。
END(2021/01/08-01/12)