そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***

 お店に入ると、案の定店内はランチタイム目当ての人達でごった返していて。

 入り口入ってすぐのところに置かれた紙に片仮名で「ミキモト」と書きながらチェックしたら、私たちの前に4組が待っていた。


大盛況(だいせいきょう)だね」

 頼綱(よりつな)が感心したようにそうつぶやいて、私は「これでも少ない方かも?」と返す。

「予約すればこんなに待つ必要ないんじゃないのかね?」

 頼綱らしい言葉に、私はクスッと笑う。

ファミレス(こう言うお店)には基本的にそう言うシステムはないの。早く来た順だよ?」

 言ったら、心底驚いた顔をされた。
 
 さすが頼綱。ファミレスは初体験だったか。

 頼綱にはいつも私の初めてを()(さら)われてばかりなので、何だかちょっぴり嬉しい。

「社会勉強の一環だね」

 ニコッと笑ったら、頼綱が「そうだね」って表情を緩めて。
 私はその笑顔にドキッとしてしまう。


 ――もぉ! 何その表情(かお)! 反則だよ!
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