そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 自分に似ているのはくっきりした二重まぶたの目元くらいで、基本的なパーツは多分頼綱(よりつな)寄りだと思う。

 お腹にいる時にはすでに性別が分かっていたこの子に、頼綱とふたり、ああでもない、こうでもないと名前を練りに練って来たのだけれど。

 最終的に候補を2つまで絞ったところで「どちらにするかは顔を見て決めようという話になって。

「で、どっちにする? 俺はもう決めてるんだけど」

 頼綱が、私の腕の中で眠る赤ん坊のほっぺに触れながら、私の顔を見つめてくる。

「私も決めたよ? えっと……せーの!で言ってみちゃう?」

 言ったら、頼綱がクスッと笑って(うなず)いて。

「もし意見が別れたら花々里(かがり)が選んだ方を採用しようね」

 と付け加えた。

「いいの?」

 頼綱があまりにサラリと言うから、ビックリしてそう聞いたら「キミと意見が割れる気がしないから」とかズルくない?


「じゃあ、一緒に、ね? ……せーのっ!――」



 ふたりで同時に発した名前は、頼綱(よりつな)が言った通り、同じのだった。
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