そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***

「は? 意味が分からないんだが」

 ややしてポツンとつぶやかれた御神本(みきもと)さんの声音に、八千代さんもうんうんとうなずいて。

「そのまんまの意味ですよ? 私、この家には〝若奥様〟としてではなく、家事をする対価として住まわせて頂く〝居候(いそうろう)〟の(てい)でご厄介になりたいの」

 さっき言おうとして言いそびれた同居の条件はこれです!

「さっき御神本(みきもと)さん、おっしゃいましたよね? 八千代さんの労働条件について3()()()話そうって」

 言ったら、即座に「頼綱(よりつな)だ」って訂正される。
 この応酬いつまで続くのかしら。
 私、その呼び方は苦手なのに。
 思って恨めしげに彼を見つめたら「〝居候〟としてうちに住みたいなら〝主人(あるじ)〟の(げん)には従うべきだろう?」と先手を打たれてしまった。

 私はその言葉に反論できなくて詰まる。

 助けを求めるように八千代さんを見つめたら「頼綱(よりつな)坊っちゃまのおっしゃることは絶対でございます」って……。え!? そっちの援護(みかた)なの!?

 分かりました。ここはもう、()()()()()()()()呼んでやろうじゃない。
< 70 / 632 >

この作品をシェア

pagetop