そろそろ喰ってもいい頃だよな？〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません！ 謹んでお断り申し上げます！〜

「承知いたしました。では頼綱(よりつな)、――さん」
「さんも要らない」

　ですよねぇぇぇ。
　そこは妻候補じゃないから譲歩してくれるかと思ったけれど無理だったみたいです。

　でも、家政婦(いそうろう)に主人(あるじ)を呼び捨てにさせるって、絶対おかしいと思うんですけどね？

　現に八千代さんは御神本(みきもと)さんのことを「頼綱(よりつな)坊(・)っ(・)ち(・)ゃ(・)ま(・)」とかちょっぴりぞわぞわする呼び方で呼んでる。

　いっそ私も「頼綱(よりつな)坊っちゃま」って呼んじゃおうかしら？

　ふふふ。

　思わず顔がにやけてしまって、
「いま花々里(かがり)が何を考えているか大体分かるけど、却下だからね？」
　またしても先手を打たれてしまいました。

　何なのっ！
　基本的に私の気持ちなんてお構いなしに斜め上のことばかりしてくるくせに、こう言う時だけズバズバ私の考えを当ててきて。
　忌々(いまいま)しいったらありゃしない！

　結局私は雇い主命令と言う形で「頼綱(よりつな)呼び」を強要されることになりました。

　が、頑張って呼べるようになろうと思いますっ！