政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
けれど、そんな余裕はない。
この後、井垣会長の息子であり、朱加里の父である壮貴さんがなにか仕掛けてくるに決まっている。
黙って地位と財産を奪われるようなタイプではない。
それはあの芙由江さんと紗耶香さんも同じ。
「壱都です。失礼します」
重たい樫の木のドアをノックした。
「入れ」
中から低い声がした。
ドアを開けると祖父は暖炉の前に立ち、じろりとこちらを見た。
気に入っているイギリスのオーダーメイドスーツにメガネ、手にはアールデコの模様が入ったフランス製の杖を持っている。
その姿に俺は笑った。
祖父は少なからず、朱加里との対面を楽しみにしていたようだ。
お気に入りのもので固めているということは悪い印象を与えたくないと思っているからだろう。
「井垣会長の孫で俺の婚約者です」
祖父は表情こそ変えないが、興味はある。
この後、井垣会長の息子であり、朱加里の父である壮貴さんがなにか仕掛けてくるに決まっている。
黙って地位と財産を奪われるようなタイプではない。
それはあの芙由江さんと紗耶香さんも同じ。
「壱都です。失礼します」
重たい樫の木のドアをノックした。
「入れ」
中から低い声がした。
ドアを開けると祖父は暖炉の前に立ち、じろりとこちらを見た。
気に入っているイギリスのオーダーメイドスーツにメガネ、手にはアールデコの模様が入ったフランス製の杖を持っている。
その姿に俺は笑った。
祖父は少なからず、朱加里との対面を楽しみにしていたようだ。
お気に入りのもので固めているということは悪い印象を与えたくないと思っているからだろう。
「井垣会長の孫で俺の婚約者です」
祖父は表情こそ変えないが、興味はある。