政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
なにもないとわかると、中にその訪問した人達を招き入れる。
紺色のスーツにスカーフをした女性とスーツ姿の男性が現れた。
え?なに?なんなの?
なにが始まるのだろうと、眺めていると、女の人は持ってきた服をずらりと並べ始め、男の人はスーツケースから宝石がついたアクセサリーを取り出した。
他に靴や帽子、バッグ、コートなど。
次々に並べられる品物はすべて一流といって差し支えない品物ばかりだった。

「な、なんですか?これ?」

ボディガードにたずねると、得意げな顔で答えた。

「一日中部屋にいるのは退屈だろうと壱都様がおっしゃられ、なにかないか考えたところ百貨店の外商部をお呼びしようということになりました」

自分の雇い主である壱都さんのことを誇らしく思っているようで、『気が利くでしょう』と言わんばかりの態度だった。
並んだ品物を見ると値札がついてない。
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