政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
白河の血
今日は早く帰るつもりだった。
マンションの部屋にボディガードを置き、家政婦も手配したが、不自由なことに変わりはない。
昨日もあまり眠れなかったようだった。
朱加里のことが気になっていた。
「婚約者と暮らし始めたのに不機嫌ですね。壱都さん」
樫村がバックミラー越しに機嫌の悪い俺の空気を察して、聞いてきた。
「樫村。何を言ってるのかな?俺は別に不機嫌ではないよ?」
嘘だ―――機嫌が悪い。
「井垣での仕事はうまくいっているじゃないですか。もう白河家特有の性格の悪さがにじみ出るくらいに追い詰めて。まだ初日だっていうのに井垣社長を社長の座から追いやってしまったのになにが不満なんですか」
容易いものだった。
遺言書の場に井垣の重役達を呼んでおいたのはこのためだ。
樫村と白河から引き抜いた有能な人材と共に俺は井垣グループに入った。
マンションの部屋にボディガードを置き、家政婦も手配したが、不自由なことに変わりはない。
昨日もあまり眠れなかったようだった。
朱加里のことが気になっていた。
「婚約者と暮らし始めたのに不機嫌ですね。壱都さん」
樫村がバックミラー越しに機嫌の悪い俺の空気を察して、聞いてきた。
「樫村。何を言ってるのかな?俺は別に不機嫌ではないよ?」
嘘だ―――機嫌が悪い。
「井垣での仕事はうまくいっているじゃないですか。もう白河家特有の性格の悪さがにじみ出るくらいに追い詰めて。まだ初日だっていうのに井垣社長を社長の座から追いやってしまったのになにが不満なんですか」
容易いものだった。
遺言書の場に井垣の重役達を呼んでおいたのはこのためだ。
樫村と白河から引き抜いた有能な人材と共に俺は井垣グループに入った。